器のお手入れ

お気に入りの器と長く付き合う。当たり前のことですが、その当たり前もちょっとしたことでいい付き合いに変わってきます。ここではそのちょっとしたことをご紹介します。

陶器

器を我が家に迎え入れたとき、まずはひっくり返して底を触ってください。ざらざらしていませんか。特に目の粗い陶器ではつぶつぶとした石や砂が残っていることがあります。その場合はサンドペーパー(#100前後)で磨いてください。そうすることで机などに傷をつけずに使い始められます。

おろしたての器はいきなり料理を入れないようにしてください。特に油ものやしょう油は要注意です。買ったそのままの状態でいきなり使うと色が染み付いてしまったり油のシミが落ちなくなります。一度水かぬるま湯にくぐらせてください。色移りがなくなり匂い移りもありません。コーヒーなど色の濃い飲み物も同じです。まずはカップを軽くすすいでから使ってください。よく使う器であれば始めの1回水にくぐらせるだけであとはそれほど気にすることはありません。

コラム器の手入れ

温かいお茶を飲むときはやや厚手の陶器がよいです。ちなみにこの湯呑ですが右は新品のもの、左は使って5年が経ったものです。色の違いが分かりますか。「育つ」という表現をしますが、これは湯呑(ゆのみ)にいい表情がついてきた状態を指す言葉です。昔から日本では陶器を育てて愛でてきました。自分が使ってきたことへの愛着と、ともに歩んで渋くいい表情に変わっていく器への愛情です。新しくきれいなものもいいですが、色つやが落ち着き渋みを増した器もいいものです。日本茶の表情、紅茶の表情、コーヒーの表情、それぞれに趣き深いもののはずです。

磁器

しかし、磁器に限ってはこれが言えません。磁器についてしまった渋は白く美しい肌を部分的に汚すだけで美しい変化とは言えないのではないでしょうか。もしカップの底や口のあたりに渋が目立ち始めたら漂白剤に漬けるか重曹をスポンジに付けて軽くこすってください。クレンザーは表面を傷つけ汚れを付着させやすく、また上絵付けの柄を落としてしまう可能性もあるのでおすすめできません。

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陶磁器の食器棚へのしまい方

キレイに洗った器をフキンで拭いて食器棚に返す、この何気ない動作の中にもちょっとした注意が必要です。磁器の器はそのまましまっても大丈夫なのですが、陶器の器はちょっと待ってください。陶器には吸水性があります。生地が水を含んだ状態で密閉された食器棚にしまってしまうと底からカビがはえることもあります。そうさせないためにはもう1日屋内で乾かしておきましょう。特にたまにしか使わないような特別な器はこれを怠らないようにしてください。水洗いのあとに熱湯にくぐらせると乾きが早くなります。

大切な器を長く使うには人と同じようにほんの少しの気遣いが必要です。